神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「どうして?どうして、そんなことを」


あたしは槙原くんに問う。


だけど答えたのは、彼じゃなくて。


「この者は、お前に好意を寄せておる。

だから、近くにいた天草が邪魔だったのだ。

消えてほしいと、願った」


「そんな……槙原くんは優しい人だよ。

そんなこと思うわけない。

あんたが勝手に、彼を誘惑したんでしょう!?」


「ふ…ははは、面白い娘よ。

なぜそんなことが言える?」


オロチは槙原くんの顔で笑うと、近くにあった机にもたれかかる。


腕を組み、あたしを見下ろし、残酷に告げる。


「どんな人間でも、笑顔の裏にはどろどろとした欲望と残虐性が潜んでいるものよ。

うまく隠していても、自分でも気づいていなくても」


「……そんな……」


そりゃあ、誰だって自分を傷つけた人は憎いと思うし、しかえししてやりたいと思うことだってある。


自分より幸せそうな人を妬むことだってある。


だけど、それが人間のすべてじゃないはず。


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