神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ただいまー」
家に帰ると、お母さんの置手紙と用意された夕食があたしたちを迎えた。
「そっか……今日は夜勤か」
お父さんもまた仕事でいないし。
あたしはほっとため息をついた。
制服のボタンを直さなきゃ。
こんなものを見たら、二人とも何があったのかと思って心配しちゃう。
夕食を終えた後、裁縫道具を取り出してボタンを付け直していると、その様子を四郎くんがじっと見ていた。
「器用だな」
「これくらい、家庭科で習うから誰でもできるよ」
「帯と紐しかなかった我の時代からすると、ボタンを縫えるのはすごい」
「ぷっ……そっか、そうだね」
いきなり制服で現れた四郎くんだったけど、実は家を出る前、ボタンを留めるのにすごく苦労したみたい。
ネクタイの結び方も、同様。
「あ……ボタン、ひとつないや」
教室に落としてきたのかな。
そう思うと、突然手が震えた。
するりと手からすり抜けた制服が、膝の上に落ちる。
「……どうした?」
四郎くんが心配そうにのぞきこむ。