神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「どうしたんだろう……」
思い出しちゃダメだと思うのに、一度よみがえった教室の景色は、なかなか消えてくれない。
薄汚れた天井。
あたしの上にのしかかっていた、重い体。
「……あれ……」
突然喉を何かがせりあがってくるような感覚がして、あたしは口元を押さえてトイレに駆け込んだ。
「美心」
あとをついてきた四郎くんの声が、背後でする。
気分が悪いのに、喉からは何も出てこない。
「……なんか、苦しい……のに……」
まぶたを閉じたわけじゃないのに、次々と切り取った写真のように浮かぶ、悪夢。
押しのけても押しのけても、びくともしなかった肩。
首筋に這わされた、生ぬるい舌。
固い髪の毛が、頬にちくちくと刺さった。
「……や……」
ぞわりと、全身に鳥肌が立つ。
四郎くんが来てくれなかったら、あたし今頃……。
「美心、しっかりしろ。
大丈夫だ。ここには我しかいない」
四郎くんの声が聞こえたと思うと同時、体がふわりと浮く。