神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「でも……」
「行くぞ。雷牙、早くしろ!」
「……くっそぉぉぉぉ!」
雷牙は何かを振り切るように、大声を上げた。
そして二人で、あたしを穴の方へ引っ張っていく。
引きずられるようにしながら、あたしは必死で抵抗した。
「いやぁぁっ、離して!
四郎くんのそばに行かせて!
死んだっていい、四郎くんと一緒なら!」
だからお願い、離して。
泣きながら叫ぶと、うつむいていた四郎くんが顔を上げた。
その顔は、もう笑っていなかった。
怒っているような顔で、彼はあたしをにらむ。
そして。
「美心……!」
幻かと思った。
誰が見てももう助からないと思えるような状態の彼が、ふらりと立ち上がった。
黒髪が、煙の中で揺らめく。
「お前は……何を馬鹿なことを!」
ずるずると体を引きずるように歩いた四郎くんは、穴の入り口まで引き込まれたあたしに怒鳴りつけた。