神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
彼は入り口に両手をつき、はあはあと息をする。
「我は、お前と死ぬのなんか、ごめんだ!」
そう言うと、片手であたしの頭を乱暴につかむ。
決して痛くはなかった。
その手から伝わってくる想いの方が、痛かった。
「本当は、生きたい。
お前と、一緒に、これからも」
四郎くんは、顔をくしゃりと歪めた。
ブルーの瞳が、静かに凪ぐ海のように見えた。
「生きたいんだ」
四郎くんが、あたしの額に汗で濡れた額をくっつける。
その瞬間、どこからか歌が聞こえてきた。
ここは江戸時代。
なのに、聞こえてくるのは外国の言葉のようで。
それがキリシタンの聖歌なのだと気づいた時には、四郎くんの頬を一筋の涙が、つたっていた。
「お前は、生きろ。何があっても、生き抜け。
自由に生きられる世界にいるやつが、死んだって良いなどと、戯けたことを申すな!」