神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「なあ、美心。
待っていろよ。
ちょっと地獄に行って、修行したら、どうにかして生まれ変わって、お前のそばに帰るから」
ぽんぽんとあたしの背中をたたくと、四郎くんは体を離した。
のぞきこんだブルーの瞳からは、もう涙は流れていなかった。
低い声に、甘さが混じる。
それはいつもの、あたしをなだめようとするときのあなたの声。
「我は絶対に……お前の元に、帰るから。
忘れるなよ……」
忘れるわけないじゃない。
たくさんたくさん伝えたいことがあるのに、嗚咽しか喉を通って出てこない。
「そろそろ、行け。
美心を頼む」
四郎くんが言ったのはあたしじゃなくて、後ろのスサノオ兄弟にだった。
力を抜いていた彼らの腕が、またあたしを現世に戻そうとする。
「四郎くん……!」
つないだ四郎くんの手が、ゆっくりと離れていく。
それでもいっぱいに手を伸ばして、叫んだ。