神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「四郎様、もう結構です」
女たちは、なんとか立っていた我を、床に座らせる。
「私たちはもう十分、夢を見させていただきました。
四郎様はすべてに飢えていた私たちに、デウス様の教えを与えてくださった」
「なんの生きがいもなかった私たち。
なんの価値もない私たち。
それでも、デウス様の御使いの御姿を間近で見られ、お世話までさせていただいきました」
そんなことはない。
お前たちは、価値がない人間などではない。
どんなに踏みつけられても、真っ直ぐに生きたではないか。
それでも彼女たちは、我を取り囲み、胸の前で両手をにぎりしめる。
「四郎様。
私たちは幸せでした。
自分を救ってくださったデウス様、そしてあなた様を裏切らずに、最後まで尽くすことができた。
きっとデウス様は、あなた様が何もしなくとも、私たちを天国へと導いてくださるはずです」
「ありがとうございます、四郎様」
「四郎様……」
煙に巻かれて、ひとり、またひとりと倒れていく。
その中の誰一人、恨み言を言う者はいなかった。