神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
裏庭の茂みを抜けると、塗りたての真っ白い壁の教会が現れた。
その前で手招いている精霊たち。
彼らの方へ駆け寄ると、平日は生徒の立ち入りが禁じられている教会のカギを、小さいおっさんがそっと開いてくれる。
体をすべりこませると、ドアはすぐに閉じられた。
真新しいステンドグラスに、コウモリの羽根のような形の天井。
祭壇の向こうには、大きな金色の十字架。
この学校の遺跡みたいだった教会は、あのあと新しく作りなおされたんだ。
「キレイ……」
もうあたしが魔法陣を書いたあの床は、どこにもない。
あたたかな光が差し込む教会の中は、キラキラといろんな色の光で溢れていた。
気づけば、小さいおっさんや、精霊や妖精がちょこちょことそのへんを歩き回り、持ち寄ったお酒で宴会を始めた。
『あんたもどう?』
誘われたけど、お酒はまだ飲めないので、遠慮しておく。
すると代わりに花の妖精が、蜜を含んだツツジをプレゼントしてくれた。
端っこが少し茶色くなったそれを見て、もうすぐ5月も半ばだということに気づく。