神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


ねえ、四郎くん。


もうすぐ、あの神社でお祭りがあるよ。


昨日通りかかったら、やぐらの上で舞を踊る子供たちが、練習をしているみたいだった。


まだ今年は誰も誘ってくれないの。


あの浴衣、今度はいつ着られるのかな。


あのときあたしは、きっとわかってたんだ。


気持ちが通じたときも。


きっと、四郎くんはそう遠くない将来に、あたしのそばからいなくなってしまうのだと。


『どうしたの?』

『さみしいの?』


ぼんやりしていると、背中に羽根の生えた、花の精霊たちがあたしの鼻先をちょんちょんとつついてくる。


「ん、大丈夫」


そう返しながら、あたしは制服のリボンをはずす。


二つボタンを外すと、胸にかけてあるロザリオを取り出した。


純金の十字架の真ん中にサファイアが埋められたそれは、少し黒ずんではいるけれど、まだ確かな輝きを放っている。


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