神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「あ……痛かった?」
槙原くんの顔には、これっぽっちも悪意が感じられない。
あたしは幼児かっ!
情けないやら恥ずかしいやら、その場に崩れ落ちそうになるのをなんとかこらえた。
もう槙原くんの顔を見ることはできなくて、自分のバッグを回収し、無言で教室を飛び出す。
「神崎さん!」
背後で声が聞こえた気がするけど、振り向けない。
もうやだ、こんな体質!
ロングヘアだと霊を寄せるって言うから、あごの下で短く切った髪が、頬に刺さる。
さっきみたいな憑依がたまにあるせいで、ぽちゃっとお肉がついた全身が揺れた。
こんなんじゃ、みんなみたいにスカートを短くして、足を出すなんて到底無理……。
少女漫画みたいな恋なんて、夢のまた夢。
あたしは泣き虫でぽっちゃりで、いつも何かが周りに浮いているから表情もオドオドしていて……
「モテ」という単語から遠くかけ離れた存在。
しょせん、気になる男の子に鼻水をふかれる存在なんだ!
女の子あつかいなんか、一生誰にもしてもらえないんだ!
ちっくしょう~!!