神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
あたしはバッグを胸に抱えて、走った。
ある、場所に向かって。
それは……。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
お肉のせいで、すぐ息が切れる!
なんて自虐はもうやめにして、あたしは目の前の木製の扉を押した。
……ここは、学校の敷地の隅にある、教会。
全体的に白だったであろうその外壁は灰色にくすんでいる。
三角の屋根のてっぺんには十字架。
その昔、ミッション系の女子高だったこの学校の遺跡みたいなものだ。
経営陣が変わり、共学の普通科となってからは誰も近寄らなくなった場所。
……と、そのへんを歩いていた小さいおっさん(多分妖精の類)に教えてもらったのは数日前。
小さいおっさんは持っていたお菓子をあげると、こっそりとカギを開けておいてくれた。
──ぎいいぃぃ……。
扉を開けると、ほこりだらけの長椅子が並んでいた。
奥の方には、天使を描いたステンドグラスが日の光を受けて輝いている。
コウモリが羽を広げたような天井の下、赤いじゅうたんがひかれたままの床を歩く。