神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
ふわりと、スカートが揺れる。
今まで風なんか吹いていなかったのに。
そう気づいた刹那、ヒュウウウと音がして、風が風牙くんの手元に集まっているのが見えた。
ぐるぐると渦を巻いたそれは、雷牙のギターみたいに、次第に実体を現す。
風は輪状の刃となった。
その中央についている取っ手を、彼は握る。
「……参る」
静かに言ったかと思うと、それを向かってきた敵にむかって、投げつける。
手裏剣のようにカーブを描きながら飛んでいった二つのそれは、タヌキの体を切り刻んだ。
どたりと巨大タヌキが倒れる前に、風牙くんの武器は、ブーメランのように彼の手に戻る。
「ふ、風牙くんも……!」
二人とも、昨日まで普通の幼なじみだったのに……。
彼らの人間離れした力は、本当にすごいと思う。
だけどなんでだろう。
あたしはそれを感じることができたはずなのに、今まで何も気づかなかった。
ただ、あたしと同じ「見える人」なだけだと思っていた。
たぶん、彼らが気づかれないように注意していたんだろうけど……
それってちょっと、寂しい。