神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
祭壇の前で立ち止まると、あたしはごそごそとバッグを探った。
その中から出てきたのは、白いチョーク。
教室から借りてきたものだ。
あとでちゃんと返すから、盗んだことにはならないもん。
それを右手にもち、左手で『誰でもカンタン!白魔術入門』というガイドブックを開く。
あたしはそれに従って、祭壇の前に円と五芒星を描き、間違えないように慎重に、呪文を書き足していく。
「ようし!」
チョークで白くなった手を、ぽんぽんと打って粉をはらう。
足元にできたのは、魔法陣だった。
これで高位の精霊を呼び出して、助けてもらうんだ。
うん、なんでもいい。
あたしを助けてくれるなら、神様でも天使でも妖精でも、なんでも。
「……あたし、完全にイタい子?」
ちょっと気づいてしまったけど、ふるふると首を横にふる。
「使えるものはなんでも使おう!」
人より少し霊感が強いことで、あたしはずーっと嫌な思いをしてきたんだ。
神様だって、訴えればわかってくれるはず。
白魔術だってなんだっていい。
あたしは手を額の前で組み、一心に祈った。