イジワルなキミの隣で
「ボーッとしすぎだろ」
後ろから頭を小突かれて思わず振り返る。
「ちょ、やめて下さいよ」
「光流に見惚れてるお前が悪い」
しれっとそう言って、佐伯先輩は伝票を持って注文を取りに行こうとしている。
「別に見惚れてなんか……」
ごにょごにょと語尾を濁らせる。
自分から目をそらしたのは、図星をつかれたから。
“見惚れてた”
あながち間違いじゃない。
だけどそれとはちょっと違う。
「今はバイト中だろ?別のこと考えてぼんやりしてたらミスるぞ」
「わかってますよ……ちゃんとしますから」
その通りだ。
佐伯先輩の言う通り。