イジワルなキミの隣で


智沙先輩は話を続ける。



「あ、光流と付き合う前に好きだった人のことね。彼女はいなかったんだけど、あたしのことそんな風に見れないって何回も振られ続けたんだ。だけど全然諦められなくて、すっごい苦しかったな」



過去の話を懐かしむように、だけど切なげに瞳を揺らす智沙先輩。



「そこから完全に吹っ切れるまでかなりかかったんだけど、全部光流のおかげかな。だから萌絵ちゃんもいつか思い出に出来る時が来るんじゃないかな?」



光流先輩の名前が出て来たことで、なんとなく胸がざわつく。



「今は全然想像もつかないだろうけど、時間が解決してくれるよ。それまではムリに諦めようとしなくてもいいと思う」



優しく微笑む智沙先輩。



「あたしの場合は光流の存在が大きかったかな」



智沙先輩が他の人を好きだった間、光流先輩は智沙先輩だけを想ってたってことだよね。


ズキンと胸が痛んだ。


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