イジワルなキミの隣で


ホットケーキと飲み物を持って行くと、トイレにでも行ったのか智沙先輩がいなかった。



「おおお、待たせしました」



緊張して声が上ずる。


そして噛んでしまった。



光流先輩は一瞬だけ私をチラッと見てからテーブルの上に目を向けた。



うぅ、やっぱりいつもの反応。


わかってたけど。



トレイの上から注文の品をテーブルの上に乗せる。



「ご注文は以上でしょうか?」



光流先輩は私の目を見て小さく頷いた。



ドキッとしてとっさに目をそらす。



まさかここで目を合わせて来るとは思わなかった。



……先輩。



「で、では失礼し────」



「この前は悪かったな」



ペコッと頭を下げた時、光流先輩がボソッと呟いた。


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