イジワルなキミの隣で


「智沙先輩の好きだった人って、誰なんだろう」



智沙先輩が惚れるくらいだもん、きっと素敵な人に決まってる。



どんな人が好きだったのか少し興味が湧いた。



「あー、それ、俺だわ」



何気なく言った言葉に先輩はしれっと答えた。



「えっ……⁉︎」



俺……って⁉︎



……どういう意味?



「俺のことが好きだったんだ、智沙の奴」




は……?


冗談、でしょ?



智沙先輩が


佐伯先輩を好きだったなんて。



「またまたー。冗談は顔だけにして下さい」



「冗談じゃねえし。なんだよ、顔だけって」



ムスッとして私を見る佐伯先輩は、本当に拗ねているように見えた。



「あんなに綺麗な人を、どうして振ったんですか?」



振る理由なんてどこにも見当たらない。



佐伯先輩は贅沢だよ。


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