イジワルなキミの隣で


「だよな。お前は光流一筋だもんな」



何も言えない。


言い返せない。


確かに一筋だし。


光流先輩の名前が出るとたちまち何も言えなくなってしまう。



佐伯先輩は無意識なのかもしれないけど、名前を出される度に胸がズキッと痛むんだ。



そして



あの日のことを思い出して、すごく胸が苦しくなる。



「行くぞ」



そう言ってまた先輩は私の頭を小突いてから歩き出した。



もう。


そんなに触りやすい位置にあるのか?


私の頭って。



だけど嫌じゃないのはなんでだろう。


よく、わからない。



歩き出した先輩の後を追ってトボトボ歩いた。


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