【完】お嬢様と執事
そして、俺は気づいていなかった。



無意識のうちに俺は沙羅様の傍にいるのは執事の自分だった。



それが、いけなかったのかもしれない。



いくら、沙羅様の傍にいることが執事でないと傍にいられないからと言って大切なことを忘れていたんだ。



あれから5分は経っただろうか。



我ながら運動神経の良さに感激だ。



ここまで全力できたが、息切れせずとも来れた。



でも、こんな走ることは今の俺にはどうでもいいことで、この扉を開けて沙羅様になんて言おうか考えなければならない。



1秒...3秒...5秒...そんな中で聞こえた沙羅様の嗚咽



好きな女の嗚咽を聞いたら、考えるなんてことは不要だ。



体が勝手に、扉を開いていた。


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