【完】お嬢様と執事
目に入ったのはソファに丸まって泣く沙羅様がいた。



「沙羅様...」



俺の足は沙羅様に向かって真っ直ぐ進み、抱き締めていた。



この行動が許されるわけがない、それもわかっていた。



執事が馴れ馴れしく主に触れてはならない。



でも、今は正直になろうと思った。



「昔と変わりませんね...泣くときは丸まって静かに泣きますね。」



トントンっと、背中を一定のリズムで叩きながら沙羅様が泣き止むのを待った。



静かな空間に俺の鼓動だけが響いているような、とても恥ずかしくて不思議な感覚がした。



俺の気持ちなどわかっていない沙羅様は俺のタキシードの裾をギュッと握った。



そして、泣きやんだ沙羅様は俺の胸に顔をうずめてとんでもないことを言った。


< 20 / 39 >

この作品をシェア

pagetop