【完】お嬢様と執事
あの約束を憶えているのは俺だけだと思っていた。



あの約束に込められた意味は未来を約束するもの。



そんなの、恋愛感情を持っていないと意味などない。



どんどん、欲が出てきた俺にならわかる。



沙羅様の傍で永遠に、執事としてではなく、特別な存在になりたい。



そう思う俺になら…



「そう…今日は早退しましょ、話があるの…とっても大事な話し…」



憶えていない、と言った俺に沙羅様はそう言った。



俺には不思議でならなかった。



その悲しそうな目と、儚さが…。



俺がこんな顔をさせているのだろうか…?



そう思うと胸が締め付けられた。



「はい」



俺は迎えを呼んだ。



沙羅様はやっぱり悲しげにベットに横たわっていた。



俺に話しかける勇気などなく、迎えの車が来てしまった。


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