【完】お嬢様と執事
「私の命令が聞けないの?」



沙羅様の声がいつもより低く怒っていることがわかった。



でも、沙羅様がどんなに怒っていてもその命令は聞けない。



「沙羅様、私は沙羅様の命令なら何でも聞きます。沙羅様が『死んで』と言うなら今この場で死んで見せてもいいでしょう、でもそれは沙羅様の執事として死を迎えること…この屋敷を出てしまえば沙羅様の執事ではなくなってしまう…それだけは、嫌なんです…」



「真田…?」



「沙羅様の傍にいたいんです…」



俺は、沙羅様に近づいた。



沙羅様の目の前で膝をつく。



「沙羅様、愛しています…」



今、言わないと沙羅様が離れて行ってしまう、そう思った。



俺の予感はよく当たる。



目の前で泣いている沙羅様を見ればそれが正解だと言うことがよくわかる。



沙羅様は辛い時悲しい時に涙は見せない。



でも、嬉しい時は必ず俺の前でも涙を流した。



辛いとき悲しいときに涙を見せてくれなのは苦しいが、嬉し涙であれ涙は涙だ。


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