【完】お嬢様と執事
「今日はお父様が帰ってらっしゃるわね。」



「はい」



長い廊下を歩きながら話しを進める。



「何時?」



「お昼頃には...」



「なら、会うことはないわね」



安心したように沙羅様は言った。



「どうしてそこまでお父様を嫌うのですか?」



「ふっ、私がお父様を嫌っているように見える?」



妖艶に笑う沙羅様が俺へと視線を向けた。



「はい...会おうとなさらないので...」



「そうね...会いたくないわね」



「どうして...お父様は会いたがってますよ?」



「知ってるわ、お父様は私に婚約者を決めさせるつもりなんだから...」



ほんと迷惑よね、っとクスクス笑った沙羅様は悲しそうに目を伏せた。


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