【完】お嬢様と執事
「沙羅ッ!!」



もう、限界だと思っていた足は魔法にでもかかった様に沙羅様の元へ駆け出していた。



「マコ、ト…」



涙目の沙羅様が俺を見つめたその時、体が動いた。



沙羅様の腕を握るオッサンの足に蹴りを入れていた。



でも、ガキの蹴りなんて大人からすれば痛くも痒くもない。



「ガキのくせに…」



そんな声が上から聞こえた。



見上げると眉間に皺を寄せたオッサンが俺を見下ろしていた。



怖いなんて全く思っていない。



俺の目からは涙が零れた。



大人とガキの力の差



俺は沙羅様を護れないのか、大好きな沙羅様を護れないのか、自分の未熟さに弱さに悔しくて涙が止まらなかった。



俺が涙を流しながらとった咄嗟の行動は、大事なところを蹴ることだった。



なんで、女が自分の身を護るときに使うようなことをして愛する女を護らなければならないのか。



こんなに、情けないことがあるだろうか…



でも、効き目は抜群だ。



痛すぎて沙羅様の腕を離したオッサンを見計らって、沙羅様を抱きしめた。



その頃は沙羅様より小さかった俺は必死に沙羅様に覆い被さった。


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