腕枕で朝寝坊
その6*チョコレイト・スマイル



*朝寝坊その6*

チョコレイト・スマイル


※ふたりが初めてバレンタインを迎えるお話。
ちょうど玉城の問題が解決した辺りです。





私の彼はとてもモテる。

本人は謙遜してるけど、モテるったらモテる。

だって。



「あれ?美織さん?」

「わ、紗和己さん偶然」


2月13日。
明日のバレンタインにプレゼントする手作りチョコの材料を買いに行った帰り。


偶然、駅前で会った紗和己さんの手には荷物がたっぷり詰め込まれた紙袋が下げられていた。



「こんな時間にどうしたんですか?まさかもうお仕事終わりじゃないですよね」


「電車で取引先へ行った帰りなんですけど…荷物が増えちゃったんで一回家に寄ろうかと」


「本当、重そう。なんですか、それ?」



なんの躊躇もなく紙袋をヒョイと覗き込んで、すぐに後悔した。


「あー…これ…」


カラフルできらびやかなラッピングの山。


「明日、バレンタインですからね。取引先やお客様が普段のお礼にと下さったんです」


彼は何も後ろめたくないように素直にそう言うけれど。

チョコレートの山、山、山。

紗和己さん、まだ13日なのにこの量って尋常じゃないよ。

分かってないでしょ。


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