天使ラビィの不思議な珠

それまで、白くてモヤモヤしたものが中でうごいていた珠は、
カピィの手につつまれた途端、黒く濁り始めました。


「うわあ、なんで?」


カピィは色が変わったことに驚いて、不思議な珠を落としてしまいました。
珠はコロコロと転がって池に落ちてしまいます。


「ああっ」


カピィは慌てて池のそばまで近寄りました。
池の水は透明でキレイでしたが、いくらのぞいても、珠は見えませんでした。底が深いのかも知れません。


「ご、ごめん」


カピィはドキドキして胸をおさえました。
自分のせいでラビィの大事な珠を失くしてしまったのです。


「ごめん、ごめん、ごめん」


他になんて言っていいか分からなくて、何度も『ごめん』と呟きます。

きっと怒ってる。
ううん、悲しくて泣いちゃうかもしれない。

カピィは胸が苦しくなってきました。


恐る恐るラビィの方を見ると、不思議なことに、ラビィは微笑んで言いました。


「いいよ。カピィ、仕方ないもん」

「でも、ボクが見せて、なんて言ったから」

「わざとじゃないんでしょう。いいよ。ほら、もうお仕事の時間だよ。行こう」

「わ、わかった」


でも。
少しはイジワルな気持ちはあった。
だって、ラビィは神様に特別扱いされてるって思ったから。


自分の気持ちを見つめれば見つめるほど、胸の奥がザワザワします。

カピィは落ちてしまった珠を気にしながらも、ラビィと一緒に歩き出しました。

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