恋の糸がほどける前に


「……ん。わかった」


言うと、ようやく葉純は顔を上げた。


その顔が涙であまりにぐしゃぐしゃで、思わず笑ってしまう。


……あーあ。

やっぱり、家族、なのかもしれねーな。

恋とか、言う前に。



今までの恋愛では、フった、フラれた、それで終わりだった。

その相手とその後も一緒にいるなんて考えもしなかった。


……でも、葉純は違う。

これからもきっと一緒にいたいと思うんだろう。

俺はきっと一生、この可愛い妹分を構わずにはいられないんだ。


一緒にいる理由。

それが恋じゃなくてもいいと、思えるから。



「ちゃんとイトコに戻るから」


そう告げて、部屋を出た。


イトコに戻る、なんて今はただの見栄だけど。

いつか本当になるように俺も頑張るから。

前に進めるようにするから。

だから、葉純も────。


「きゃっ」

「……っ!」

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