恋の糸がほどける前に
精一杯の照れ隠しに不満を滲ませてに言い返してみるけど、くすぐったい水原のセリフが心の熱を下げさせてくれない。
一応、なんて。
そんなの、本当は全然気にしてないよ。
……だって、私のことちゃんと女の子だと思ってくれてるんだよね?
こんなことで喜んで、なんて簡単な女なんだ!って自分でもあきれちゃうけど、仕方ないよ。
だって、初めてご飯にも行けて。
しかもこんなふうに送ってもらえるなんて、昨日までの私には考えられなかったんだし。
うん、うかれても仕方ないって!
「ここだよな」
家の前に辿りついて、水原が立ち止まる。
……なんか、あっという間だったなぁ。
「よく覚えてるね」