天使の涙
親友迂回路



週に二回程度。それが何の回数なのかと言うと、樹里が学校の屋上に現れる回数。週に一回。これは私と彼女が遊ぶ回数。


一緒にお昼ご飯を食べたり、学校の授業で習ったことを話したり。出掛けた時は映画やショッピングを楽しんだ。


(~♪~♪♪)


会話の途中で鳴り響くBGM。すっかり聞き慣れてしまった彼女の携帯の着信音。とにかく、頻繁に電話が掛かって来る。


『ごめんね、親がうるさくて』


門限もそうだけど、樹里の親は彼女を少し縛り過ぎなんじゃないかと思う。それでも文句一つ垂れずに従っている樹里は偉い。


「遊びに行くんはええけど、あまり遅くならんようにしぃよ。最近は日が落ちるんも早くなっとるけ、門限は五時な」


「……は?」


施設を出る前、畑山先生は私の手に携帯電話を持たせた。まさかこの私にまで門限と携帯と言うものが与えられるとは、思いも寄らず…。


「物騒な世の中やからねぇ。何かあってからじゃ遅いじゃろ」


「ちゃんと遅くならないように帰りますから」


「よろしい。ほんなら、気をつけて行ってきぃね。樹里ちゃんて子によろしくー」


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