始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~
「ねぇ・・舌出して」

ささやくように言ってみると、素直に応えてくれた。
彼の舌を自分の舌先で優しく舐め上げると、彼は一度舌を引っ込めてしまった。
名残惜しくて彼の瞳を見ると、熱を含んだ彼の視線が向けられていた。
するとさっきとは違って強く食むようなキスをされて、もう彼のペースに持っていかれてしまったことを感じる。
でもそれでいい。全身で彼を感じたい。

「・ん・・」

息をつく間もない位に彼の唇と舌で甘やかし、どんどん私を上気させる。
優しいのに強い快感を与えられ、身体をよけて逃げようとしても放してくれない。
まるでさっきの仕返しのように繰り返されて身体が細かく震えてしまう。
すると彼はキスをしながら頬や肩を撫でて「咲季さん、もっと感じて」とささやいてくる。

くすぐったいのに、切ないほど気持ちいい。

全身に広がる震えるくらいの快感に耐えられなくなって懇願する言葉しか出なくなると、首筋から離れた唇が左の耳たぶに寄せられた。

「僕のこと、欲しい?」

わざと色っぽい声で聞いてきた。
ずるい・・ずるいけど・・でも・・・

「んっ・・欲しい・・」

素直に求めると彼は極上の笑顔を見せてくれて、そっと優しいキスを落としてくれた。
それからはもう彼に全てを持っていかれる。
負けたくないのに顔を歪ませて訴えると、彼は嬉しそうに意地悪する。
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