始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~
「課長、何か取りましょうか?」

「ああ、ありがとう」

その返事を聞きながら取り皿1枚にお刺身ともう1枚は焼き鳥とだし巻き卵を取り、「どうぞ」と声をかけて置いた。

「ありがとう、悪いな」

「いいえ」

笑顔で返すと私の反対隣に座る新人の高坂くんが「いいなー、僕も取って欲しいです」と甘えるように言ってきた。

高坂くんは童顔の外見に裏切らず甘え上手。
仕事中も困ると躊躇せず頼ってくる。

何となく人の懐に入ることが上手いので、この仕事もあっているかな?と何度か思った事がある。

「もう、高坂くんは自分で取れるでしょ?」

と言いつつ私もつい取り皿を手にしてしまう。

「やったー!えっと、唐揚げとポテトフライとピザがいいです!」

「はいはい」

さすが若さみなぎる油物オンパレード。

感心しながらお節介にも大根サラダを勝手にのせてしまった。

「ありがとうございまーす」

そう言ってお皿を受け取った高坂くんは嬉しそうに次々と料理を食べて烏龍茶を飲んだ。

あっという間に空になったお皿に焼き鳥とだし巻き卵をよそってあげると、「すいません」と可愛らしい笑顔を見せて早速だし巻き卵を一口でパクッと食べた。

そんな彼を見て雛鳥に餌をやる親鳥のような気持ちになる。

烏龍茶の瓶を手に取り注いであげると、高坂くんは「今井さんって優しいですよね」と急に褒めだしたのでつい笑ってしまった。
< 98 / 103 >

この作品をシェア

pagetop