ラストバージン
重かった空気を払拭するように和気藹々とケーキを食べる中、まだ幼い子ども達にさっきの話を聞かれなかった事にホッとした。
いくら母でも、さすがに子ども達の前でそんな話を持ち出したりはしないだろうけれど、また嫌な雰囲気になる前に帰宅する事にした。
「……私、そろそろ帰るね」
「えっ? もう?」
目を小さく見開いた姉に続き、ケーキを食べ終えたばかりの桃子と孝太が私の元へと駆け寄って来る。
「葵ちゃん、遊ぼうよ! 今日はまだ一緒にゲームしてないじゃん」
「そうだよー! ぼく、葵ちゃんと遊びたい!」
可愛いおねだりに申し訳なさを感じつつ、それでも今は自分の精神的な安全を優先したい。
「ごめんね。明日からまたお仕事だし、それまでにやらなきゃいけない事があるのよ」
「えぇ〜……」と揃った二つの声が、どうにかして私を留まらせようとしていたけれど……。
「ほらほら、葵ちゃんは忙しいんだから、無理言っちゃダメよ。ゲームならママとしましょう?」
姉のフォローで、ようやく子ども達も諦めを見せた。
その代わり、『今度会った時には一緒に遊ぶ』という約束を交わし、玄関まで見送ろうとしてくれた皆を制して、繕った笑顔を残して居間を出た。
いくら母でも、さすがに子ども達の前でそんな話を持ち出したりはしないだろうけれど、また嫌な雰囲気になる前に帰宅する事にした。
「……私、そろそろ帰るね」
「えっ? もう?」
目を小さく見開いた姉に続き、ケーキを食べ終えたばかりの桃子と孝太が私の元へと駆け寄って来る。
「葵ちゃん、遊ぼうよ! 今日はまだ一緒にゲームしてないじゃん」
「そうだよー! ぼく、葵ちゃんと遊びたい!」
可愛いおねだりに申し訳なさを感じつつ、それでも今は自分の精神的な安全を優先したい。
「ごめんね。明日からまたお仕事だし、それまでにやらなきゃいけない事があるのよ」
「えぇ〜……」と揃った二つの声が、どうにかして私を留まらせようとしていたけれど……。
「ほらほら、葵ちゃんは忙しいんだから、無理言っちゃダメよ。ゲームならママとしましょう?」
姉のフォローで、ようやく子ども達も諦めを見せた。
その代わり、『今度会った時には一緒に遊ぶ』という約束を交わし、玄関まで見送ろうとしてくれた皆を制して、繕った笑顔を残して居間を出た。