ラストバージン
女性だらけの職場なんて、見た目こそ華やかに感じるものかもしれないけれど、実際はそんな事はない。
陰湿でドロドロした事が多々あるし、いじめだって決して少なくはない。


私が把握している限りでは、リハビリ科でそういった事はないはずだけれど……。

「私、あの子見てるとイライラするのよね。酒井さんもだけど、あの山ノ内さんでさえ不満があるみたいだったし」

それだって本当のところはどうなのかわからないし、矢田さんが入って来てからはギスギスした雰囲気になっているのは事実だった。


さっきはあんな風に言った酒井さんだって、以前まではきつい口調で話したりはしなかった。


「……そう。一応わかっているつもりだったけど、近いうちに矢田さんとよく話してみるね」


彼女のそんな一面を見た事で深刻だとは思っていたけれど、温厚な山之内さんでさえ不満を抱いているのなら、事態は私が考えているよりもずっと切迫しているのかもしれない。


「でも、矢田さん達が入ってまだたったの二週間だし、最低でも一ヶ月は様子を見たいと思ってる。これからも迷惑を掛けると思うけど、フォローしてあげてくれないかな?」


同僚は不満を全面に出しながらも、ため息混じりに頷いた――。

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