ラストバージン
「じゃあ、気をつけて帰りなさいね。あ、旅行ありがとう。楽しんで来るわ」
何事もなかったかのように居間に戻って行く母の後ろ姿が、憎らしくなる。
いっそ清々しい程に開き直った母を見ていると、さっき抱いた申し訳なさがとても無駄だったように感じて、また深いため息が漏れた。
「帰ろ……」
一昨日のミーティングでただでさえ疲れているのに、今日もまたどっと疲れが伸し掛かって来た。
どうやら、職場と実家では私が休息出来る事は無いらしい。
一人暮らしだという事を幸いに感じながら実家を後にし、自宅の最寄駅に着いたところで足を止めた。
このまま帰宅しても、きっと憂鬱なまま休暇を終える事になるだろう。
鬱憤を晴らす為に駅前のショッピングセンター内にある映画館に立ち寄り、ちょうど上映開始十分前の作品のチケットを購入した。
こんな時だからこそ笑いたくて、せっかくコメディーを選んだのに……。私の心が憂鬱過ぎるのか、それとも作品自体があまり面白くないものだったのか、大して笑えなかった。
不完全燃焼のまま映画館を出ると、さっきは気にしなかったカップルや家族連れがやけに目に付いて、今日一番の大きなため息が零れてしまった――。
何事もなかったかのように居間に戻って行く母の後ろ姿が、憎らしくなる。
いっそ清々しい程に開き直った母を見ていると、さっき抱いた申し訳なさがとても無駄だったように感じて、また深いため息が漏れた。
「帰ろ……」
一昨日のミーティングでただでさえ疲れているのに、今日もまたどっと疲れが伸し掛かって来た。
どうやら、職場と実家では私が休息出来る事は無いらしい。
一人暮らしだという事を幸いに感じながら実家を後にし、自宅の最寄駅に着いたところで足を止めた。
このまま帰宅しても、きっと憂鬱なまま休暇を終える事になるだろう。
鬱憤を晴らす為に駅前のショッピングセンター内にある映画館に立ち寄り、ちょうど上映開始十分前の作品のチケットを購入した。
こんな時だからこそ笑いたくて、せっかくコメディーを選んだのに……。私の心が憂鬱過ぎるのか、それとも作品自体があまり面白くないものだったのか、大して笑えなかった。
不完全燃焼のまま映画館を出ると、さっきは気にしなかったカップルや家族連れがやけに目に付いて、今日一番の大きなため息が零れてしまった――。