ラストバージン
「……ちょっと言い方が悪かったかな?」
指先で頬を掻いた榛名さんは、どことなく気まずそうにしながらも微笑んだ。
「そういう訳じゃ……」
しどろもどろ答えた私は、彼の瞳を真っ直ぐ見る事が出来ない。
もちろん恥ずかしいというのもあるけれど、それ以上に感じているのは戸惑いだった。
「結構脈ありだと思い込んでいたから、こんなに困らせるとは思っていなかったんだけど……」
榛名さんが苦笑を零したのが何となくわかって、その感覚は決して間違いではない事を伝えたいのに言葉が出て来ない。
「言い方を変えるよ」
さっきよりも真剣味を帯びた事でいつもよりも低くなった声音が、戸惑いに囚われた私の耳に届く。
「僕は、結木さんの事が好きです。だから……僕と、結婚を前提にお付き合いして頂けませんか?」
優しい声が耳から胸の奥に入り込み、私の心を掴み取った。
〝結婚〟という二文字にはまだピンと来ないけれど、間違いなく告白だと理解出来る言葉はとても嬉しくて、自分が戸惑いの中にいながらも喜んでいる事がわかる。
だけど……。
「……少し、考えさせて欲しい」
しばらくの間考えて出たのは、震えてしまいそうな程に小さな声だった。
指先で頬を掻いた榛名さんは、どことなく気まずそうにしながらも微笑んだ。
「そういう訳じゃ……」
しどろもどろ答えた私は、彼の瞳を真っ直ぐ見る事が出来ない。
もちろん恥ずかしいというのもあるけれど、それ以上に感じているのは戸惑いだった。
「結構脈ありだと思い込んでいたから、こんなに困らせるとは思っていなかったんだけど……」
榛名さんが苦笑を零したのが何となくわかって、その感覚は決して間違いではない事を伝えたいのに言葉が出て来ない。
「言い方を変えるよ」
さっきよりも真剣味を帯びた事でいつもよりも低くなった声音が、戸惑いに囚われた私の耳に届く。
「僕は、結木さんの事が好きです。だから……僕と、結婚を前提にお付き合いして頂けませんか?」
優しい声が耳から胸の奥に入り込み、私の心を掴み取った。
〝結婚〟という二文字にはまだピンと来ないけれど、間違いなく告白だと理解出来る言葉はとても嬉しくて、自分が戸惑いの中にいながらも喜んでいる事がわかる。
だけど……。
「……少し、考えさせて欲しい」
しばらくの間考えて出たのは、震えてしまいそうな程に小さな声だった。