ラストバージン
それからも、スタッフの誘導で次々と目の前に現れる男性達と会話を繰り広げ、トークタイムは終わった。


「只今より、隣の部屋へ移動して頂き、フリータイムとなります」


全員がぞろぞろと、隣の部屋に移動する。
その部屋の壁際には等間隔でソファーや椅子が置かれていて、中心の長机には数種類のドリンクが置いてあった。


「一人ワンドリンクずつお取りになって、気になっている異性とお話を開始して下さい。三十分間という短い時間ではありますが、せっかくのチャンスを逃さないようにして下さいね!」


スタッフの言葉の後、女性陣の顔付きが変わった。
菜摘は、軽い気持ちで参加しても大丈夫だというような事を言っていたけれど、私を除いた女性陣は真剣そうにしか見えない。


「私、四番の人が気になるんだけど、葵は?」


女性達の雰囲気に圧倒されていると、彼女がそう耳打ちをして来た。
〝四番の人〟をすぐに見付けられたのは、男女共にナンバーの書かれた札を首から掛けているから。


だけど、私にはその人がどんな職業に就いているのかは疎か、どんな会話をしたのかすら覚えていない。
それはその男性に限らず、さっき交わした会話のほとんどを覚えていないのだ。

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