ラストバージン
「あの……」


私はこういう場面にあまりにも免疫が無さ過ぎて、こんな時に選ぶべき言葉がわからない。


だから……。

「私、高田さんとはもうお会い出来ません」

率直な言葉を紡ぎ、高田さんを真っ直ぐ見つめた。


「こんな言い方、とてもおこがましいのは重々承知です。本当にすみません。でも……」


彼は微動だにせずに、私の言葉に耳を傾けている。


「高田さんがもしまたこんな風にお誘い下さっても、私はもうご一緒出来ません。高田さんはとてもいい方だと思いますし、そんな方に声を掛けて頂けた事は本当に嬉しかったです。だけど、私……」


自分の気持ちを全て曝け出す事は出来なくて俯けば、程なくして高田さんが大きなため息をついた。


「……やっぱり、ダメでしたか」


最初からわかっていたかのような口振りにゆっくりと顔を上げれば、自嘲気味な笑みを向けられていた。


「結木さんがパーティーで乗り気じゃなかった事には気付いていましたが、その時は接しているうちにチャンスがあるんじゃないかと思っていたんです。でも、すぐに無理だって気付きました。だって……」


高田さんは眉を小さく寄せたまま、胸の前で組んだ腕をそっとテーブルに付いた。

< 59 / 318 >

この作品をシェア

pagetop