ラストバージン
「今まで仕事にかまけてばかりで恋愛を疎かにしていたんですけど、友達に誘われて参加した婚活パーティーで何となく結婚を意識するようになって、あの日は自分の意思で参加したんです」


口調は柔らかく、そこに怒気は孕まれていない。


「そこにいた結木さんが好みのタイプの女性だったので、何て言うか……急にやる気が出て来たんですよ」


ハハッと笑った高田さんは、穏やかな表情で私を見つめた。


「どうして私なんて……。高田さんなら、きっとお付き合いしたいと思う女性がたくさんいらっしゃるはずなのに……」


現に、彼はあの日、複数の女性に囲まれていた。
翌日電話を掛けて来た菜摘だって、興奮しながら『有望株に気に入られたね!』なんて言っていた程。


だから、疎外感を纏うようにして一人突っ立っていた私なんかに声を掛けてくれた事が、ずっと不思議で堪らなかったのだ。


「タイプだと言ったでしょう? それに、結木さんはあの中で一番〝自分〟を持っていたと思うんです」

「え?」

「言い方は悪いですが、過度に着飾る事も媚びを売る事もなく立っていたあなたが、一番素敵だと思いました」


高田さんは、私を見つめたままそっと瞳を緩めた。

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