ラストバージン
菜摘の家庭の事を知っているから、本当に良かったと思う。
ただ、心の底からそう思えている訳じゃない事にモヤモヤとして、そんな感情を飲み込むようにコーヒーを一口飲んだ。
「一応さ、『結婚を前提に』って言われてるんだよね」
「え? ……結婚?」
「うん」
「いつするの?」
「ちょっと! いくら何でも、今すぐじゃないからね!」
呆れたように苦笑した菜摘は、私が早とちりしたと思ったのかもしれないけれど……。いくら結婚に前向きになった彼女だって、さすがにそこまで性急じゃない事はわかっている。
私がそんな事を訊いたのは、〝モヤモヤ〟の意味に気付いてしまったから……。
「付き合ったばっかりだし、結婚なんてまだまだ先だけど、葵だけには言っておこうと思っただけよ」
大切な親友の幸せを心から喜ぶ事が出来ないのは、焦燥感を抱いたからだったのだ。
周囲の結婚や出産の報告にどれだけ焦っても、一番付き合いの長い菜摘が結婚願望をあまり持っていない事が、私をどこかで安心させてくれていた。
だけど……そんな菜摘が、この間までよりも更に結婚を前向きに捉えているとわかって、今まで与えられて来た安堵感が消え去ってしまったのだ。
ただ、心の底からそう思えている訳じゃない事にモヤモヤとして、そんな感情を飲み込むようにコーヒーを一口飲んだ。
「一応さ、『結婚を前提に』って言われてるんだよね」
「え? ……結婚?」
「うん」
「いつするの?」
「ちょっと! いくら何でも、今すぐじゃないからね!」
呆れたように苦笑した菜摘は、私が早とちりしたと思ったのかもしれないけれど……。いくら結婚に前向きになった彼女だって、さすがにそこまで性急じゃない事はわかっている。
私がそんな事を訊いたのは、〝モヤモヤ〟の意味に気付いてしまったから……。
「付き合ったばっかりだし、結婚なんてまだまだ先だけど、葵だけには言っておこうと思っただけよ」
大切な親友の幸せを心から喜ぶ事が出来ないのは、焦燥感を抱いたからだったのだ。
周囲の結婚や出産の報告にどれだけ焦っても、一番付き合いの長い菜摘が結婚願望をあまり持っていない事が、私をどこかで安心させてくれていた。
だけど……そんな菜摘が、この間までよりも更に結婚を前向きに捉えているとわかって、今まで与えられて来た安堵感が消え去ってしまったのだ。