ラストバージン
「本当はね、一緒に過ごした時間を考えたら不安もあるよ。それでも、自分の直感を信じてもいいかなぁって思えたの」

「直感?」

「うん。初対面でフィーリングが合う気がする、って思った事」

「フィーリング、かぁ」

「実際、本当にフィーリングも合うし、一緒にいるとホッとするんだよね。それに、慎吾って全然手を出して来ないから信用出来るかな、って」


ピンと来ない私に、菜摘がフッと笑みを零した。


「付き合って二週間とは言え、この私がまだキスもしてないんだよ? 信じられる?」

「……それは、ちょっと信じられないかも」

「でしょ?」


自嘲気味に笑った菜摘には申し訳ないけれど、三十分前に出会ったばかりの男性とホテルに行くような事もしていた彼女を知っているだけに、本当に信じられなかった。


「昨日ようやく手は繋いだんだけど、それ以上はして来なかったのよ」


クスクスと笑った菜摘は、瞳を緩めて自分の掌を見つめた。


「そういうの、今までだと考えられなかったって言うか、自分がこういう付き合い方をするなんて思ってもみなかったんだけど、大切にされてるのかなって思えてさ」


その表情は本当に幸せそうで、私には少しだけ眩しい。

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