ラストバージン
料理は繊細で美しく、もちろん味だってそれに劣らないのだと思う。
断言出来ないのは、見た目については視覚が〝綺麗〟だと認識したけれど、味はよくわからなかったから……。
それは最初から最後までずっとで、これならいっその事インスタントラーメンを食べても同じだったんじゃないかと思えてしまった。
いくら緊張が解れたとは言っても、それだけ気分が重いのだろう。
どうせなら気の置けない友達と来たかった、なんて事をぼんやりと考えた自分自身を叱責し、佐原さんとの会話に集中する。
彼はとても話上手で、聞き上手だった。
独りよがりにならないように話題を提供してくれ、こちらの話にも丁寧に言葉を返してくれる。
仕事上、毎日多くの人と会うのだと聞いて、その長けた話術に深く頷けた。
最初に口にした通り、堅苦しい雰囲気にならないようにしてくれる佐原さんは、きっと人と接するのが上手いのだろう。
三十二歳で、大手商社マン。
営業部の課長だという事も知り、恋愛にも結婚にも好条件だと思った。
だけど……私はやっぱり最後まで楽しむ事は出来ず、別れ際に連絡先を訊かれた時には笑顔を繕う事に限界を感じながらも、仕方なく頷いたのだった――。
断言出来ないのは、見た目については視覚が〝綺麗〟だと認識したけれど、味はよくわからなかったから……。
それは最初から最後までずっとで、これならいっその事インスタントラーメンを食べても同じだったんじゃないかと思えてしまった。
いくら緊張が解れたとは言っても、それだけ気分が重いのだろう。
どうせなら気の置けない友達と来たかった、なんて事をぼんやりと考えた自分自身を叱責し、佐原さんとの会話に集中する。
彼はとても話上手で、聞き上手だった。
独りよがりにならないように話題を提供してくれ、こちらの話にも丁寧に言葉を返してくれる。
仕事上、毎日多くの人と会うのだと聞いて、その長けた話術に深く頷けた。
最初に口にした通り、堅苦しい雰囲気にならないようにしてくれる佐原さんは、きっと人と接するのが上手いのだろう。
三十二歳で、大手商社マン。
営業部の課長だという事も知り、恋愛にも結婚にも好条件だと思った。
だけど……私はやっぱり最後まで楽しむ事は出来ず、別れ際に連絡先を訊かれた時には笑顔を繕う事に限界を感じながらも、仕方なく頷いたのだった――。