チャラ男とちょうちょ
青葉さんはうれしそうだった。
奥さんの愚痴や、お子さんの話を聞きながらお酒を飲んだ。
時間が気になる。
だけど、そんな素振りは見せられない。
それに青葉さんの様子を見てたら、そろそろ帰らないとなんて言えっこなかった。

バッグの中で携帯が震えてるのがわかった。
きっと裕貴からだとあたしは直感した。
もちろん今、出られるわけもない。


「リオナちゃんと2人で飲めて、チョコまでもらっちゃって舞い上がっちゃったな、俺!そろそろ帰ろうか」


青葉さんがそう言ったのは、バーに入ってしばらく経ってからだった。

「お仕事、早いんでしょ?大丈夫?」

「大丈夫!リオナちゃんに元気もらったから。ありがとね!」

そうやって言ってもらえるのは、うれしい。
こういう仕事だけど、誰かの力になれてるんだなって思うから。

青葉さんのタクシーを見送って、見えなくなったところでバッグから携帯を急いで取り出す。
が、携帯は充電が切れていた。


(あぁ、もう!最悪っ‼︎)


あたしはすぐにタクシーを拾ってマンションに帰った。
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