黒愛−kuroai−
柊也先輩は大きく息を吐き出し、私の頭に手を乗せた。
俯く顔をそろそろと上げ、上目遣いに見上げると、彼はクスリ笑っていた。
「偶然か… それは怒れないよ。
大丈夫、そんなに怯えなくていいから」
「本当に…?」
「ああ、変に勘繰ってゴメン。
愛美は裏のある子じゃないのにな。
久しぶりに鈴奈に会って、女不信て言うか…そんな疑う気持ちが蘇りそうになってた。
悪かったよ。愛美のことは信じてる」
“信じてる”と優しく言われ、怖がる素振りを消した。
パッと満面の笑みを向けると、彼の頬が少し赤くなった。
腕を引かれ、家と家の隙間の狭い路地へ。
私を囲うように壁に手を付き、キスしてくる。
彼が食べたパスタはボンゴレ。
ここでやっと味見する事ができ、嬉しかった。