黒愛−kuroai−
柊也先輩が、喉に炒飯を詰まらせた。
苦しそうな彼。
コップの緑茶を一気に飲み干し、息を吐きだした。
「私… 何か変なこと言いましたか?」
「ん…うーん…
随分先のこと考えてるから、驚いてさ…」
随分先?
嫁に来るのが?
私にとってすぐそこにある景色が、彼にとって遠いらしい。
自他共にラブラブと認める私達。
邪魔する物は何もない。
次に進むのが当然なのに“随分先”なんて、柊也先輩の方こそおかしな事を言う。
◇
昼食を食べ終え、彼の部屋で真面目に勉強した。
ローテーブルを出し、向かい合い、それぞれの教科書を広げる。
私の学力は中の中。
親や先生に、煩く言われない程度の学力があればそれでいい。
高校卒業後、進学したいと思わないし、勉強より美容に時間を費やしたい。
一方、柊也先輩は、ケンイチ高校の中では頭がいい。
普段テニス漬けの生活だけど、テスト前はこうやって真面目に勉強している。