黒愛−kuroai−
 


焦げた卵焼きを幸せそうに頬張る私に、菜緒が言う。




「愛美… 結婚の話し、まさか本気じゃないよね?」




幸せスケジュールは、とっくに菜緒に報告済み。


“本気じゃないよね?”
と聞かれたと言うことは、今まで冗談に思われていたのか。




「本気だよ。
だってプロポーズされたもん。

“結婚していないと、東京で一緒に暮らせない”

そう言われたよ?
あ、また嬉しくなって来た。
フフフッ」




嬉しさが笑いとなり、零れ落ちる。


そんな私に、菜緒はなぜか哀れみの視線を向け、


「それ…プロポーズじゃないと思うよ……」


そんなおかしな事まで言って来る。





手作りミートボールに、ブスリ箸を突き立てた。




「菜緒… 私の結婚に文句あるの?
反対?喜んでくれないの?」




笑みを消し、真顔でじっと見つめる。

菜緒はビクッと肩を揺らした。




「その顔怖いって…

反対してないよ。
夢が叶って良かったね。

ただ、本当に結婚できるのか、心配してるだけ…」




「ふーん、心配してるんだ。
全然問題ないのに。全て順調だよ」




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