黒愛−kuroai−
俯せに倒れているから、顔は見えない。
それでも、菜緒の恐怖は伝わって来る。
背中を踏み付ける右足に、小さな震えが伝わって来る。
その時、保健室のドアがガラリ開き、保健の先生が戻って来た。
急いでしゃがみ込み、菜緒の体を揺する。
「菜緒、大丈夫?
あっ!先生!友達が貧血で倒れちゃって…助けて下さい!」
先生が駆け寄る。
よろよろと身を起こした菜緒の顔を見て、こう言った。
「かなり顔色悪いわね…
急に立ち上がらないで、先生に掴まってゆっくりね」
菜緒は、さっきまで私が寝ていたベットに寝かされた。
薄笑いを浮かべ、先生の背後からジッと見下ろす私。
視線が合うと、顔色が益々悪くなる。
震える手で衿元まで布団を引き上げ、防御の姿勢を見せていた。
腕組みしながら、保健の先生が言う。
「あなた、生理中?
最近の子は、いい加減な食事するから倒れるのよ。
女の子はしっかり鉄分取らないと駄目よ。
鉄分含有量の多い献立のプリント渡すから、お母さんに見せて…………………」