黒愛−kuroai−
ベットに座る私の前に立ち、彼は冷ややかに見下ろして来る。
昨日言えなかった言葉を、口にされた。
「お前とはもう終わりだ…
別れるから、二度と家に来るな」
「…フフッ…別れたい理由は?
私、嫌われるようなこと、何かしました?」
彼は目を見開く。
この期に及び何を言うのかと、言いたげに見える。
呆れと怒りの混ざる声は、少し震えていた。
「全部知ってんだよ…
結婚の噂を勝手に流しやがって…
変なポスターや、掲示板にやたらカキコミしている“クロアイ”ってお前だろ?」
「そうですよ、フフッ
少し誇張したけど、もうすぐ結婚するんです。
嘘じゃなありません。
そんな理由で、別れたいなんて、バカなこと言う気デスカ?」
彼の素敵な顔が、醜く歪んだ。
ダメージを与えられないのが悔しいみたいで、ギリリと歯ぎしりの音が聞こえた。
睨む目付きは益々険しくなり、私に有効打を与えようと必死だ。
「結婚話しだけじゃねーよ…
鈴奈の事は、昨日バレてるだろ。
亜子がマネージャー辞めるように仕組んだのも、お前だろ?
全部知ってんだよ。
とんでもない奴だな…」