黒愛−kuroai−
◇
ベットに座り、待つこと30分。
やっと柊也先輩が帰って来た。
リズミカルに階段を上る足音が聞こえ、躊躇いなくドアが開けられた。
中に一歩、足を踏み入れた彼は、私を見て、
「うわっ!」と驚きの声を上げた。
「柊也先輩、お帰りなさい!
もう〜遅いですよ〜
待ちくたびれちゃいました」
「…… 何で…」
「何で部屋にいるのか…ですか?
普通にお義母さんに入れて貰いました。
お出かけしたお義母さんの帰りは、夜7時頃ですって。
それまで、二人切りですね、セ・ン・パ・イ」
笑顔の私に対し、彼は顔色が悪い。
昨日の恐怖が蘇ったのか、唇が微かに震えていた。
半歩後ろに下がる。
心の中で、恐怖と戦っているような顔。
少しの葛藤の後、
彼は唇を引き結び、震えを止め、怯えを制して私に近づいて来た。