黒愛−kuroai−
◇
放課後、テニスコートには行かず、由梨の高校の正門前にいた。
“聖心女学院”
そう…
柊也先輩の彼女と同じ女子高だった。
目の前を通り過ぎるのは、白いセーラー服を着た女子ばかり。
チラチラと向けられる視線と、ヒソヒソ話す声に苛立つ。
賢王第一で悪かったね…
学力レベルは、うちが中で、聖心は最上。
その上から目線な感じが、かなりムカついた。
待ち合わせ時間の3分前、由梨が玄関から走り出て来た。
「キャア愛美ちゃん!
久しぶり!嬉しいよー!」
喜ぶ由梨に少し驚いていた。
見た目が垢抜けている。
高校デビューってヤツなのか。
三つ編ではなく、緩くパーマを掛けた肩までの髪。
ビン底眼鏡を外してコンタクト。
軽くメイクまでして、すっかり可愛い女子高生になっている。