黒愛−kuroai−
◇◇
7月下旬、暑い日々が続いていた。
期末テストも終わり、近づく夏休みに生徒達は浮かれている。
昼休みの賑やかな教室で、菜緒と二人、ダラダラとお弁当を食べていた。
午後は体育。
くそ暑い中の体育は最悪だ。
二人で体育の悪口を言い合っていると、
「愛美ちゃん」
教室の入り口から声がした。
この声は…
振り向くと、そこには柊也先輩の姿が。
憂鬱だった気持ちが一気に吹き飛び、満面の笑顔になる。
「うあ〜 露骨〜」
呆れる菜緒を無視し、
ドアに手を掛ける彼の元に走った。
「柊也先輩!
どうしたんですか?」
ニコニコ笑顔で元気に聞くと、彼はホッとした表情を浮かべた。
「最近姿を見せないから、何かあったのかと思ってさ…」